夫と昨夜、かなり久しぶりに「サザエさん」を見ていた時のことです。
カツオとワカメが母の日に何をしようか相談していて、お母さんの好きなものを知ろうとワカメがフネさんと一緒に出かけたシーンで、フネさんが「あらこれいいわね」と何かを見て呟いた時にワカメが、
「お母さんはこういうのが好きなの?」
と言いました。
それを聞いて私は思わず
えっ?!
と大きな声を出したのですが、さすが我が夫、この「えっ?!」がどういう意味なのかを瞬時に理解したらしく、
そうだよ、ワカメはサザエさんではなくフネさんの子供
と教えてくれたのです。
昔、実家で毎週見ていた頃は、サザエさんの子供はタラちゃんだけと知っていたのはずなのに、ずいぶん長い間見ていなかったために、フネさんはサザエさんだけのお母さんで、カツオとワカメにとってはおばあちゃんだと思い込んでいたのです。
こんな愚かな記憶違いは私だけかもしれませんが、人の記憶は案外曖昧で、
覚えていることと覚えていないことがあるし、
覚えているのに話をする度に若干違う内容に変化したり、
都合よく無意識に書き換えたりしている。
だから、その経験を共有した相手と何年後かにその話をすると、双方で内容の食い違いが起きます。
目撃者の証言内容が、時間が経つにつれ途中から少しずつ変化するのは、何度も同じことを聞かれたり誘導されそうになったりするうちに記憶が薄れ、本当はどうだったかな?、もしかして自分の勘違いかも?と思うようになるからでしょう。
よく芸能人が昔の恋人と番組の中で再会し別れのエピソードを別々に語っているのを聞くと、どちらが振ったのかなんて1つしかない真実なのに、どちらも自分が振られたと思い込んでいたりしますよね。
ただ出来事だけを覚えているのならそんなことにはなりませんが、その時に感じた気持ちや数々の思い出などが複雑に絡まり合って、誰もが自分に都合よく覚えてしまうことがあるのです。
傷つけた側と覚えるより、自分は傷ついた側だと思っている方が自分を嫌いにならなくて済みますからね。
知らないうちに正しい内容から間違った内容に記憶は書き換えられるということ。
だからこれを上手に活用すれば、過去の苦い思い出や今も自分を苦しめる過去の記憶による負の感情を消すことができるのです。
本当に事実をその通りに覚えていた場合は、考え方や捉え方を変えて行くしかないのですが、思い込んでいたり自分に都合よく覚えてしまっている記憶は変えることができます。
例えそれが間違った記憶でも、楽しい思い出になっているのならそのままでも大丈夫。
要するに過去の記憶に今も苦しんでいるのなら、1番良いのはその当時のことをよく知る人に話を聞くことです。
それが無理なら本当はどうだったのかをじっくり思い出してみることをおススメします。
もしも姉妹の中で自分だけ理由もわからずよく親や親戚に怒られていて、自分は親に愛されていない、周りはいつも可愛くて勉強ができた姉だけを可愛がっていた・・・という記憶があり、そのせいで劣等感が常にあって自分に自信がない、自分を好きになれないのなら、大人になった今、家族や従妹等にその頃のことを聞いてみてはいかがでしょうか。
実は子供だったから覚えていないだけで、やんちゃばかりして姉や周りの大人に迷惑をかけていたから注意されていただけとわかったり、お姉さんを可愛がっていたのはお姉さんが生まれた直後に大きな病気になって命が消えそうになったことがあったとか、怒られたのにはちゃんと理由があった、愛されていなかったわけではなかったという真実が見えて来ることもあります。
私の父とか、子供に八つ当たりをして何度も暴言を吐いたり暴力を振るうような親は親が完全に悪いので、記憶が違うということは少ないかもしれませんが、私のように聞ける年齢になってから親側の話を聞いてみると、少しは理解できることがあるかもしれません。
自分の勘違いだったとわかったら、
別に嫌われていたわけじゃないんだ
と、そこから「悪いことをして怒られただけ、親は私のことも愛してくれている」という風に正しい記憶に書き換え上書き保存をすることで、嘘のように心が軽くなることはあります。
簡単に言うと誤解を解くということですね。
記憶に限らず、今の人間関係の中でも、誤解や自分の思い込みで事実ではないことで悩んでいる人は多いです。
素直に思いを伝えたり、相手の考えも聞くことができたら、「なーんだ、そういうことか~」と安堵することもあるのに、それをしないままだから腹が立ったり辛い気持ちを抱えてしまう。
記憶が真実だったらそうなった原因や理由を探り、
記憶が自分の思い込みかもしれないと思ったら真実を知る。
難しく考えず、本当に今自分が覚えていることは正しいのかな?と追求するだけでも見えて来ることはありますよ。