少し前に終了したドラマ「大豆田とわ子と三人の元夫」の最終話で、主人公のとわ子(松たか子さん)が出さずにしまっていた亡き母の手紙を見つけて読んでしまうというシーンがありました。


そこにはとわ子の父ではない誰かへの想いが綴られていて、何もかも捨ててその人の元に行けたら・・・というような、今の自分の人生は幸せではないという内容だったのです。



とわ子は、


自分がいたから母は幸せになれなかったのかな?  

母は私を本当は愛してくれていなかったのかな?


と不安を感じます。



そして娘の唄と共に、母が手紙を出すはずだった相手、母の好きだったマーさんに会いに行くのですが、そこにいたのは男性ではなく女性でした。



今でもカミングアウトをするのには勇気が要ることですが、とわ子の母親が若い頃だと今よりも言い出しにくく理解されない世の中だったのでしょう。




とわ子の不安を感じ取ったマーさんは、「あなたのお母さんはちゃんとあなたのことを愛していた」と優しく声をかけ、自分ではなくとわ子の父と結婚をする選択をして正解だったし幸せだったと伝えます。




真面目で真っ直ぐな性格のとわ子には、他に好きな人がいたのにその気持ちにフタをして別の人と家庭を持った母が理解できず、相思相愛だったのにどうしてマーさんの元に行かなかったのか、本当に母は自分たちといて幸せだったのか?と複雑そうな納得のいかない表情をしていました。







その時マーさんが、


家族を愛していたのも事実。  

自由になれたらって思っていたのも事実。

矛盾してる。

でも誰だって、心に穴を持って生まれて来て、それ埋めるためにジタバタして生きている。

愛を守りたい、恋に溺れたい。

一人の中にいくつもあって、どれも嘘じゃない。



と言ったのを聞いて、ようやくとわ子も腑に落ちたのでした。




私の友人でも結婚をして子供を持つ幸せと元恋人への想いの両方を抱えたまま「やっぱり好きなのはあの人」とキッパリ言って元恋人を想いながら家庭も大切にし、元恋人と時々会うことで結婚生活を維持している人がいます。


その友人いわく、それでバランスを取っているらしい


これに対して「不倫は良くない」と言うのは簡単ですが、その友人は家庭を壊す気はなく、子供が将来独立した後に離婚をしてその元恋人(今も会っているから元ではないかな?)と一緒になることも考えていないのだそう。



どこかとわ子のような性格をしている私からすると友人の考えは不思議でしたが、罪悪感がないわけではなく、だけど本人もどうしようもないみたいなので、口を挟まないようにしています。




そう言えば、とわ子が今も好きなのに最初の夫・八作(松田龍平さん)と離婚を決めたのは、八作に他に好きな人がいると知ってしまったからでしたね。


ハッキリとは明かされなかったけど、とわ子の両親が離婚をしたのも、とわ子の父親が(一緒にいるけど自分は愛されていない)とマーさんとのことに気づいてしまったからかもしれません。




矛盾を抱えながらも結局最後は一人で亡くなった母親と、自分の気持ちに正直になって好きだった夫と離婚をし、最後は「あなたを選んで一人で生きることにした」と伝えたとわ子。


違う考え方なのに同じ道を辿っているのが興味深いですね。





あの手紙だけを見ればとわ子の母親は幸せじゃなかったのかな?と思えますが、人は誰でも感傷的になる時はあって、そういう気分の時に手紙を書けばあのような内容になる。


でも出さなかったし、とわ子の父親と離婚をしてもマーさんに連絡すらしなかったのも事実。




自分でも何が正解でどうしたら良いかわからなくて結局何もできないことはよくあるので、矛盾を抱えて生きることは悪いことではありません。


否定せず、自分を責めたりしないで、こういう矛盾を持っているのが自分なんだと受け入れて、本人が納得をすることが大事だと思います。



でもそれは開き直りとは違う。



矛盾を抱え、何かで誤魔化すことで自分もしんどいし周りにも迷惑をかけているのなら、向き合って1つの答えを出そうとした方がいいと思います。





コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご了承くださいませ。